日経新聞の5月2日の記事
『地銀の不動産融資、10年で6割増 金利上昇が重荷に』に思うこと。
問題は、銀行員の質が落ちたことなのかな???
あまり語られていないのだが、日本におけるマイナス金利を含む超低金利の政策は、銀行の収益を圧迫してきた。これは、経済政策の一環であると認識できる金利政策の負の側面を銀行が負担してきたという見方もできる。
また、誤解を恐れずに言えば、金利を下げて不動産開発を含む民間の投資を促すことで、景気浮揚をもくろんだのだから、銀行が不動産への融資を増やすのはごく自然のことだ。
次に、固定金利の不動産への貸し付けが増えているからと言って、銀行の固定化された収入が増えているとするのは、いささか早計だ(日経の記事ではそう読めてしまう)。
不動産への貸出に限らず、銀行では固定金利の貸出と変動金利の貸出のバランスを取りながら運営している(固定金利を変動に替える方法もあるし、変動金利を固定化することも出来る)。
但し、銀行では、金利が低下する局面では、固定金利での貸出を増やし、変動金利を減らす方向に動きやすいという特徴がある。また、金利上昇局面では逆に変動金利を増やす運用を行う。
これだけ長い期間低金利が続いているため、銀行では、不動産向けの貸出に限らず、固定金利の割合を増やしてきた。これに加えて、金利上昇局面を知らない銀行員が多く、人材が十分でない地方銀行では、金利上昇局面で必要な対応が適切に出来ない可能性がある。これが、日銀が懸念する問題点なのだ。
なお、日銀は同時に不動産市況が悪化した場合の懸念を持っている。これは、不良債権の増加を通じて銀行決算への影響だ。不動産価格の下落し、家賃収入等が減少した場合の地方銀行に与える影響(不良化する可能性)を試算したものと考えられる。
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